１９６０年代ＪＪＳウオーカー・バンプトン９‘６”＃７〜８メール

ハーデイのある英国北部の町アーニックには幾つかの釣具のメーカー、販売会社がありました。その中でも、１９２１〜１９６８年までアーニックのメーカーとして活躍したウオーカー･バンプトンは特に多くのハーデイ製と極めて似たロッドを製造。販売していた事で知られています。第二次世界大戦以前営業していたハーデイと同じ町でフライ用品の仕事をしていた所謂アーニック・フィシング・トレーダーの一つです。

同じアーニック・フィシング・トレーダーではデイングリーのリール、ステファンソンやＪＡウオーカーのロッド等は知られていますが、パーツ類・雰囲気・丁寧な作りなどはハーデイとの類似性を強く感じさせます。これらがハーデイで作られた可能性は低いと思われますが（一方で、例えばリール・メーカーのデイングリーはハーデイの従業員でした）、アーニックにあったパーツ・メーカーやブランクのメーカー等と何らかの関連があったのではと推定しています。

アクションや仕様等から考えてロッドが影響を受けたのはハーデイ・パーフェクションもしくはポープであろうと推測しています。フェルールはハーデイと類似のロック・ファースト・タイプ、バットとトップのメノウ・ガイドはハーデイと同じクリヤー・メノウ・タイプです。ハーデイと同じロック・ファースト・フェルールが付いている事や極めて似たリール・シート、ガイド・ラッピングの最後の二重巻き等の外観は極めてハーデイの雰囲気を感じさせる高い完成度のロッドです。

このロッドは、重量約２２０グラム、シガー・タイプ・グリップの全長約２０．５ｃｍ、グリップ・上端部のブランクの対面外径は約９．５ｍｍ・トップ・ガイド下の対面外径は約２．５ｍｍです。アクションはかなり中心部から曲がりパラボリックでトルクの高いロッドです。＃７〜＃８をメインに中流域・本流を中心にドライからウエットまでを楽しめるモデルです。中小の止水域でも存分にロング・キャストを楽しめるロッドです。

バンブーのロング・ロッドに慣れた方ならシングルでの使用に問題はありませんが、大型魚等に適したへービーなロッドです。アップ・ロックシート下端部に一握り程のスペースが出来るので手を添えてセミ・ダブルで使用する事が可能です。この長さならシングルをメインでご使用になり、遠投する等の状況や体力に応じてセミ・ダブルをと使い分ける事がよりロッドの特性が発揮できると思われます。アップ・ロック・シートを上に締め上げてリールを固定すると通常約２５ミリほどのスペースがバツト・エンドとの間に出来ます、指２本がラバーエンドに掛けられます。

当店専用の長さ１０ｃｍのハーデイ用イングリッシュ・エクステンションを取り付ける事が可能です。下図が取り付けた画像ですがセミ・ダブルとしても存分にお楽しみ頂けるのでロッドの多様性が高まる仕様です。

２ピース、１テイップ、オリジナル布ケース付。オリジナル・フェルール・キャップ付き。状態はアンテイーク・ロッドとしては良好でオリジナル性を高く保ったモデルです。当店お問い合わせ番号ＳＡ９８１ 。グレードは￥３１，９００（税別￥２９，０００）

ガイドとフェルールの全てのラッピング部は防水上塗り加工を施してあります。一箇所のインター・ミデイエット部の巻き直しと１/３程のインター・ミデイットの防水上塗りを行いました。コルク・グリップの最下端を修正しました。軽微な曲がり直しをおこないました。

グリップは長さ２０ｃｍのシガー・タイプが取り付けられています。グリップ下端部にフライを掛けると言う英国のフライ・フィッシャマンの習慣のせいで若干欠落が見られたので当店でその部分を取り換えてあります。多分修正箇所は分からないと思われます。それ以外は大きな欠落や穴などは見られません。今後も安心してご使用になれます。

ラバー・エンド付きのアップ・ロック・シートなので、リールを固定すると指を掛けるスペースが出来るので、長いコルク・グリップとの組み合わせが効果を発揮してセミ・ダブルとしての使用が出来ます。

尚、ラバー・エンドを外すと当店オリジナルのハーデイ用エクステンションが取り付けられます。ご希望の場合はご相談ください。シート下端部には”Alnwick”の文字が見えます。ウオーカー・バンプトンはハーデイと同じアーニックの町にありました。