メーカーのアンダーソン＆サンはスコットランドのメーカーで１８８０年〜１９５１年頃まで営業を続けていたと思われます。

ロッドのバット・エンドに刻まれたエジンバラのプリンセス・ストリートと住所を表示してある事から１９３０年代のロッドと推測しました。全てのガイドがメノウ・ガイドが使用されている極めて豪華なモデルです。

加えてステイール・センター仕様とハーデイと類似のロック・ファースト・フェルールが使用されています。このフェルールもグレードの高いピン付きタイプが付いているから、最上級モデルのロッドであったと推測できます。

 

長さは１１フィートと思われますが実寸は約１インチほど伸びています。ステイール・センター仕様のロッド重量は約５９０グラム。良質な柾目コルクのラバー・エンド下端部までのグリップの全長は約６３ｃｍ、グリップの最大外径約２７ｍｍ。シートのリテイナー下部には約２１ｃｍのスペースがあります。グリップ先端部近辺のロッドの対面外径は約１２．６ｍｍ、トップ・ガイド下の対面外径は約３ｍｍです。

ステイール・センター仕様のハードなロッドは＃９程度をメインに＃１０〜＃１１、＃８にも対応できるアクションです。ハーデイのワイよりハードなサーモンや大型レインボー用ロッドに適しています。

オリジナル・ケース付、３ピース、１テイップ。 当店お問い合わせ番号ＳＡ９６６。グレードは \４２，９００（税別\３９，０００）

 

ハードに使用されるサーモン・ロッドとしては状態がかなり綺麗で英国のオーナーが全体の防水上塗りを行った以外はオリジナルの状態を保っています。フェルール部や一部のラッピングの防水上塗りを行いました。ミドルの５か所のインター・ミデイエット部分の巻き直しを行いました。防水上塗りの幾つかの微小な塗装の欠落部を塗りました（下塗りがあるのでそれ程の必要性はありませんが）。１本のテイップのメノウ・ガイドにクラックが見られたので類似の口径の大きなメノウ・ガイドと交換してあります。

手に馴染む心地良い握り間隔が特徴の柾目コルクが使用されています。大型魚とのファイトを堪能できるようにラバー・エンド下端部までのグリップの全長は約６３ｃｍと長めの仕様になっています。グリップの状態はかなり良好で目立つような欠落や穴などは見られません。

古い時代の英国製らしい重厚なブラス製リング・シートが付いています。リテイナー下部には約２１cmのスペースがあります。

ブラス・バット・エンド・キャップに”アンダーソンの”文字と”ステイール・センター”の文字が刻まれています。

ガイドのラッピング等はオリジナルの状態です。ミドル・セクションの５か所のインター・ミデイエットを今後の長い使用を考慮して巻き直しを行いました。　

ストリッピングは綺麗な状態のアンバー・カラーのメノウ・ガイドが付いています、フレームの造りやリングの厚み等がハーデイのガイドに極めて似ている意匠です。ガイドのラッピングもハーデイと同じく最後がダブルに巻かれている事等やロック・ファースト・フェルール等と併せて、ハーデイと同じ町の釣り具メーカー所謂アーニック・フィシング・トレーダーとの何らかの関係があるのではないかと推測しています。

全てのガイドが豪華なメノウ・リング・ガイドが付いているデラックスなロッドです。ストリッピングのメノウ・ガイドとテイップ部の１個のメノウ・ガイドの計２個が使用には支障はありませんが、僅かにトップ側にフレーム（画像上）が傾いています。

全てのメノウ・ガイドのパーツしての金額が表示のロッド販売価格より高価かもしれません。英国のオーナーがロッド全体の防水加工を行っていると推定されます、その為にオリジナルの状態を良く保ちダブル・ハンド・ロッドとしての状態はかなり良好です。

ハーデイと類似のロック・ファースト・フェルール各部の差し込みもガタツキが無く確りと固定できます。クリヤー・メノウのトップ・ガイドは、オリジナルのものにクラックが見られたために類似のガイド（画像上）と交換してあります。

その折テイップの先端が見えましたが驚いたことにステイール・センターがトップの先まで入れられていました。通常バットやミドルまでが多いと思われますが細いテイップまでステイールを挿入した作業に当時の職人の確かな腕を感じました。トップまでステイール・センターが通っているとするとこのロッドの強靭なパワーと耐久性が推定出来ます。

トップ・ガイドは豪華で美しいメノウ製。尚、オリジナルのアンバー・カラーのメノウ・ガイド（画像下）の内径は約８ｍｍ、交換したクリヤーのメノウ・ガイド（画像上）の内径は約７ｍｍ、現在ダブル・ハンドで使用される方が多いループの付いたラインでも楽に使用できます。