ハーデイのブランク製造子会社ファイバーチューブ社の完成品のグラス・サーモン・ロッド。ファイバーチューブがそのブランド名でブランクを製造・販売した期間はかなり短く、完成品のロッドは更に極めて少量の為大変貴重なアンテイークです。
当店の推測では、このモデルは英国”E.S.プリースト”と言う会社がハーデイへの特注で製造したモデルではないかと推測しています。ハーデイのスタンダード・モデルそのものでは特注は難しいので子会社のブランクを使用してハーデイで製造したロッドではないかと思っています。
全長約71cmのグリップの先端部の外径は約16.9mm・トップ・ガイド下の外径は約3.0mm(飾り巻がされていて正確に計測ができません)。ハーデイの通常のファイバー・ライト・モデルに比べると少し柔らかなアクションに感じられます。ストリッピング・ガイドが全長71cmのコルク・グリップの僅か13cm上の近接した位置に付いている事からも、このモデルがかなりパラボリックなアクション故の仕様だと推測されます。通常のファイバーライト・モデルは後期モデルになるとかなりパワフルなアクションになりますが、このファイバーチューブ・モデルは比較的初期の時代に作られているのでかなりパラボリックなロッドになっています。ラインは“AFTM9”(一般的にはAFTMA)と表記されていますが、現在のパワフルなラインでは#7〜8が適したサイズに感じられます。
仕様も古い時代のモデルらしくバンブーの雰囲気が残っています。グラス・ロッドながらインターミデイット・ラップが施されています。ラッピング・スレッドのカラーもレッドにブラックの縞模様が入った大変美しいカラー、ガイドの巻も両端に飾り巻が施されています。これらは販売会社と思われる注文主のE.S.プリーストの希望なのかもしれませんがアンテイークらしい雰囲気です。
アンテイーク好きの方にお勧めのデリケートなハーデイ・グラス・サーモン・ロッドです。 瑕疵として、バット下端部が約7cmショートしていました。念のためにバット・エンドを取り外した処破損したというより切断したような外観でした。破損した個所を綺麗にしたことも考えられますが、シート位置が本来の状態では若干上に付いているので、下部のグリップ部分をカットしたように感じました。シートを上部に付ける事には、リールでの巻取りが素早く楽に行える利点があり(左巻きリールが一般来な英国では特に有効です)、古いモデルではたまに見る事が出来ます。このデザインも注文主の依頼で作られたのではないかと推定できます。アクションには全く関係がありませんが内部にグラスのスリーブを差し込み、コルクを取り付けて本来の長さに戻しました。これらの事から、他の状態はかなり綺麗なのですが、ハーデイの古い時代の珍しいグラス・サーモン・モデルとしてはかなりお買い得になっています。
ハーデイの通常のフェラライト・モデルに比べるとこのロッドはテーパーが滑らかなデザインの為にアクションがパラボリックでデリケートな印象を受けます。フェラライトはグラス・ロッド独特な滑らかさを残していますがかなりパワーのあるアクションです。下記に両方のロッドのサイズをお書きしました。
グラス・ロッド、柔らかなアクション、珍しい等の特徴を持つハーデイ製品をお探しのコレクターにお勧めのモデルです。 ストリッピングとトップ・ガイドはデラックスなメノウ・ガイド、他のガイドはフル・オープン・フレームです。前のオーナーがロッド全体の上塗りを行っているためにロッドの状態はかなり良好です。オリジナル布ケース付き、3ピース・1テイップ。当店お問い合わせ番号 SA831。¥35,640(税別¥33,000)
約7cmショートしていたレアー・グリップ、ブランク内部にホロー・グラス素材を差し込みコルク・ブリップを取り付けてオリジナルの状態に戻しました。フェルール差し込み調整を行いました。