ハーデイのある英国北部の町、アーニックには幾つかの釣具のメーカー、販売会社がありました。その中でも、１９２１〜１９６８年までアーニックのメーカーとして活躍したウオーカー･バンプトンは特に多くのハーデイ製と極めて似たロッドやリールを販売していた事で知られています。第二次世界大戦以前営業していたハーデイと同じ町でフライ用品の仕事をしていた所謂アーニック・フィシング・トレーダーの一つです。同じアーニック・フィシング・トレーダーではデイングリーのリール、ズテファンソンやＪＡウオーカーのロッド等は知られていますが、パーツ類・雰囲気・丁寧な作りなどはハーデイとの類似性を強く感じさせます。当店の知り得た情報からは、例えばデイングリーがハーデイの従業員だったように、類似性の強いメーカーはハーデイ関連の人々が設立した会社だと考えられているようです。デザイン、パーツ、仕様等が当時世界最高水準のフライ用品メーカー、ハーデイに似ていることになります。

このダブル・ハンド・ロッドも外観とアクションにハーデイとの類似性が大変強く出ています。クリヤー・メノウのトップ・ガイド、古い時代のハーデイに付いているブリッジ・リング・ガイド、ロック・ファースト・フェルールはハーデイと同じものだと思われます。ラッピングもハーデイの特徴である最後が複数回巻かれているものと同じ仕上がりになっています。*一部腕の良いプロの職人か又はメーカーによるレストアーがなされていて上記の説明と異なる場合があります。以下の各箇所の説明をお読みください。

このモデルは、ブラス・エンド・キャップに刻印されているようにパワーのあるステイール・センター仕様です。アーサー・ウッドほど柔らかくなくワイよりもハードなアクションです。１９２０〜３０年代は一般的に１３‘以上のサーモン・ロッドがポピュラーでしたのでこのロッドに該当するものが見当たりませんが、ワイが最も近いと推測されます。

当時のワイは後年のモデルと異なりステイール・センター仕様が多くのサイズに用意されていました。又、時代によって若干の違いがありますが長さも最大１３’６“までのライン・アップになっています。ロッド重量約６００グラム、グリップの全長約６２ｃｍ、最大２６ｍｍ。バットのブリップ上端部の対面外径は約１３．９ｍｍ、トップ・ガイド下の対面外径約３．４ｍｍです。どちらかと言うと少しヘビーなダブル・ハンドで大型の魚や大きなフライの使用に適したロッドと言えます。

このロッドはアンテイークを愛好なさる方に人気の高いモデルなのですが、レストアーされています。作業はかなり腕の良い職人かメーカーで行われているのと推測されるので使用上の支障はありません。価格が比較的安価なのはレストアーが行われていることによります。ミドルの上部が約４“ショートしており、実際の長さは１３‘であったと推測されます。この部分はフェルールが新しい箇所に再接着されスレッド巻かれています。また、当時の手触りの良いソフトな柾目コルクの上部指の当たる近辺が摩耗しており若干の凹凸（全体的にも）があります。ケースはファーローの布ケースが付いています。

ロッドの機能には問題がありませんが、アンテイーク・ロッドのご使用に馴れたお客様にお勧めするモデルです。３ピースでエクストラ・テイップ付、安心してご使用になれます。フェルール・キャップが２個揃っています。。当店お問い合わせ番号SA６９３。上記の瑕疵がありますが使用するロッドとして見たグレードは \３５，６４０（税別\３３，０００）

使用するロッドとしては格別のレストアーの必要性は見られないかなり良好な状態です。今後の使用を考慮した手入れを行っています。インターミデイエット・ラップを除いた全てのラッピング部の防水上塗りと、ブランクの一部の防水上塗りを行いました。軽微な曲がり直しも行いました。

古い時代の柾目コルク・グリップは柔らかい手触りが良いのですが摩耗する場合があります。使用上支障はありませんが上部のグリップ部分に摩耗が見られ、凹凸が見えます。シートに付いても使用には問題がありませんがモダンな薄いフットのリールの場合はテープなどで調整の必要があるかもしれません。

ストリッピング・ガイドはハーデイのクリヤー・メノウと同じと推測されます。ミドルのやじるのガイドは巻き直されています、ハーデイと同じブリッジ・リング・ガイドが無かったのかスネークが取り付けられています。