ハーデイと同じアーニックでJAウオーカーは1929〜1938年まで営業していた所謂アーニック・フィシング・トレーダーの一つです。同じアーニック・フィシング・トレーダーのデイングリーのリール、ズテファンソンやウオーカー・バンプトンのロッド等は知られていますが、パーツ類・雰囲気・丁寧な作りなどはハーデイとの類似性を強く感じます。ロック・ファースト・フェルールやクリヤー・メノウのトップ・ガイドとストリッピングなどはハーデイとほぼ同じです。さらにエクストラ・テイップ付、ロッドのショートなどの見られない1930年代としてはかなり良好な状態です。ご存知のように1930年代はハーデイが最もグレードの高いロッドを作っていた時代の一つです。
このロッドのアクションと仕様はハーデイのゴールド・メダルとの類似性を推測されます。ワイより柔らかくアーサー・ウッドより硬め、どなたでも違和感なくキャステイングを楽しめるゴールド・メダルが最も近いアクションでしょう。#7〜8ラインに適応しいています。オークションの説明は12’でしたので当店での説明も12’になっていますが、正確には長さが約5”程伸びています。
ロッド重量は約490グラム、バットのワインでイング・チェックのラッピング部上の対面外径約12.5mm、メノウ・ガイド下の対面外径約2.4mm。グリップの全長は約57センチ、グリップの最大外径は約26mm。ロッドの基本的な状態は大変良好でラッピングのスレッドの切断や塗装面の剥離などが見られません。美しいハーデイと同じのクリヤー・メノウ・ストリッピングとトップ・ガイドの状態も良好です。他のオープン・フレーム・ガイドにも目立つような錆や曲りは見られません。今後の使用に支障はありませんが古い時代のハーデイ・ロッドと同じく塗装が若干べたつき微小な剥離面が見られます。1930年代のロッドとしては状態は大変良好でフェルールの目立つようなガタツキ、スレッドの切れなどは見られません。一人のオーナーが丁寧に使用したことが推測されます。ハーデイのロッドをお探しの方にお勧めのモデルです。3ピース、2テイップ、オリジナル布ケース付き。当店お問い合わせ番号SA641。グレードは \48,600(税別\45,000)
ロッドの基本的な状態はかなり良好なので、微小な凹凸が見られるベタツキ気味の古い塗装面の全体に防水上塗りを施しました。かなり改善しましたが古い時代のロッド塗装の特徴であるベタツキ感は若干残ります(この塗装面をご存知の方には違和感がないと推測します。布ケースに入れっぱなしにすると時折張り付く感じがあります)。今後も長くご使用になれるロッドですのでラッピングをすべて防水上塗りを行いました(尚、インターミデイエット・ラップは全体の防水塗装作業の折に上塗りを行っています)。今後の使用には支障ありません。1本のテイップの微小な曲がり直しを行っています。
*目立つようにライテイングを工夫して撮影しました。一部がこのように見えます。今後の使用に支障はありません(アンテイークの常で、手入れをしながら使用する必要があるかもしれませんが)。1900年代初め頃、ハーデイは一年に一度ロッドを送り返してもらい塗装のレストアーを行うことを推奨していました。それを苦にしない人々のスポーツであり、そのようなフライ・フィッシャマン達の要望に合致するグレード第一の製品を作っていたのです。職人たちの裁量を認め、価格より最高の品を作る事を求めた結果、現在まで残った1930年代のロッドのグレードが高いといわれる所以です(職人の数や技術、さらに潤沢なバンブーのストックももちろんありますが)。このアーニック・トレーダーの一つであるJAウオーカーのロッドもほぼ同じ状況で製造されたと推測されます。*以上の説明は当店で複数の英国の同業者から聞き取った情報に基づいたものです。事実と相違するする場合もあることをご高配ください。