１８９４年に創業したアレックス・マーテイン、グレードの高いフライ製品各種を生み出していましたが、残念ながら１９６７年に釣具製造の幕を閉じました。このロッドの製造された１９３０年代は（もっと古い時代の可能性も推測できます）、アンテイークらしい重厚なブラス製パーツ類や細かなインターミデイエット・ラップ等の凝った作りとバンブーの六角接着面の丸みなどからの当店の推定です。

ラッピングやパーツ類はオリジナル性を保ったかなり綺麗な状態です。推定される古い製造年代から見ると、ロッド塗装面の綺麗な状態から、英国に於いてプロの手によるロッドの全面塗装が施されたと推測されます、アンテイークの雰囲気を持った美しいロッドです。

このロッドに付けられたブラス・フェルールは、スピリット・バンブー時代より古い時代の凝った作りが多く見られるグリーン・ハート・ロッドの時代の仕様が使われています。フェルールの抜けを防ぐ為にリングが取り付けられたオス・メス・フェルールの差込が珍しい仕様になっています。オスのフェルールの先端部が特集な形状のメス・フェルールの袴状の内部に入り込むように細工が施されているので、差込時のガタツキを防いだりパワーの伝達に良好なアクションを生み出しています。

ロッド重量約３４０グラム、ロング・ロッドに馴れた方ならシングル・ロッドとしてもキャステイングが堪能できるアクションです。バットのワイデング・チェック上部の対面外径は約１２.３ｍｍ、テイップのトップ・ガイド下の対面外径約２．６ｍｍです。一体式のグリップのラバー・エンドまでの全長は約３７（コルク部のみは約３３ｃｍ）ｃｍ、コルク部の最大外径は約２５ｍｍ。

アクションはかなりデリケートでロング・アンテイーク・ロッドに慣れた方なら時折シング・ハンドでもお楽しみ頂けると思われます。シート下部のリテイナーとウッド・エンドとの間には約５２ｍｍ程のスペースがあるのでセミ・ダブルとしてのキャステイングをお楽しみいただけるモデルです。ラインは＃６をメインに＃５〜＃７程度まで対応できるモデルです。本流や中流域、止水域でのロング・キャストを楽しむのに適したモデルです。

オリジナル製と思われる布ケース付。３ピース、１テイップ。状態はかなり良好です。 当店お問い合わせ番号ＳＡ１０５３。グレードは \２９，７００（税別\２７，０００）

英国でのプロによるロッド全体の塗装が施された思われるロッドの状態はかなり綺麗ですが、バット・メス・フェルールとミドルオス・フェルールの接着にガタツキが見られた為に共に取り外して再接着とスレッドの巻き直しをおこないました。インターミデイエットを除いたラッピング部の防水上塗りも行ってあります。軽微な曲がり直しも行いました。

古い時代のロッドの雰囲気が強く感じられる重厚なブラス・リール・シートと柾目コルクの組み合わせです。握り心地の良い柾目コルク部のみの長さは約３２．５ｃｍ、最大外径約２５ｍｍ、シート下部金具のリテイナーとエンド・キャップとの間には約５３ｍｍ程のスペースがあるのでセミ・ダブル・ハンドの釣りをお楽しみいただけます。上記画像のグリップの一部に長さ約２１ｍｍ程の小さな欠落が見られますが使用に支障はありません（下記にも画像を掲載申し上げました）。

金具類は全て古い時代のロッドでお馴染みの重厚なブラス製が使用されています。フェルールは上記画像の特殊な仕様とピン付きタイプを使用している事からロッドのパワーがスムースにロッド各部に伝わり魚とのやり取りやキャステイングの楽しさを増してくれます。

ブラスのバット・キャップには”アレックス・マーテイン”のロゴが彫り込まれています。ウッドのバット・エンドは取り外しは出来ません。

英国に於いてプロによる全塗装がされたと思われるバンブー・ブランクには塗装面の剥離や傷、大きな曲りやスレッドの断裂等が殆ど見られません。狭い間隔で細かく巻かれたインター・ミデイエット・ラップもデラックスな印象を与えます。

古い時代のロッドにしばしば見られるストリッピングも含めてすべてがスネーク・ガイドで組み立てられています。ダーク・ブロンズ・カラーと思われるスネーク・ガイドもメッキのカラーがかなり残っている良好な状態です。