1907年ハーデイー・パーフェクション10‘#4〜5 メール

パーフェクションはゴールド・メダルと共にハーデイを代表する多目的に使用できるポピュラーなフライ・ロッド、軽快な2ピースが特徴です。このロッドは貴重な110年以上前に作られたロッドとしては状態もかなり良好、なによりアクションが大変軽快な事があげられます。ロッドの抜けるような軽やかなアクションは素材にカルカッタ・ケーンが使用されて居る事(当店の推測ですがほぼ間違いないと思います)が大きな原因と推定されます。

張りのある軽さを併せ持つカルカッタ・ケーンのロッドは、現況ではこのロッドのようにオリジナルの状態を保ったモデルが残っている事がかなり少なくなってきています。2ピース・モデルのパーフェクションの細身のロッドはさすがハーデイと思わせる現代のアクションにも通じるデリケートさを持っています。昔の潤沢な良質ロッドの素材とバンブー・ロッドを作りなれた職人達の技術が体感できます。

このロッドはラッピングのまき直しや塗装のやり直しなど大きなレストアーの形跡は見られないと推測しています(英国に於いて防水上塗りが行われていると推測する以外)。ほぼ販売時のオリジナルの状態を良く保っています。当店で今後の使用を考慮して古い時代の雰囲気が損なわれないよう注意しながら幾つかのレストアーを行いました。

長さは10フィートの2ピースと長めのロッドですが、ロング・ロッドに慣れた方には、パーフェクションの特徴であるシャープなアクションの使い心地の良さを感じるでしょう。カルカッタ・ケーン素材の使用により、ロング・ロッドのもったり感がそれほど感じられないと思われます。9フィート程度のロッドを愛用されている方ならこの軽いロッドはシングル・ハンドの使用でも違和感なく通常のキャステイングをお楽しみいただけますが、全長約31cmの長めの一体式コルク・グリップを取り付けてあるのでこのままでセミ・ダブルとしての使用が可能なデザインになっています。

ラインは現在のモデルでは#3〜5をメインに#4が適していると思われます。#3も問題なくご使用になれますがその場合はDT3が良いでしょう。渓流のドライからウエット、中流域や本流の大型ヤマメとほぼ万能にご使用になれます。

ロッド重量約200グラム、一体式柾目シガー・グリップの長さは約31cm・グリップ最大外径約23.5mm。グリップ上端部のロッド対面外径は約9.8mm、トップ・ガイド下の対面外径は約2.4mmです。仕舞い込み寸法は約155cm。

ブランク自体に大きな傷や曲り等は見られない100年以上前のアンテイーク・ロッドとしてはオリジナルの状態を保った良好な状態です。古い時代のハーデイのアンテイーク・ロッドの雰囲気とデリケートなアクションをお好みの方にお勧めのモデルです。2ピース・1テイップ。ハーデイのオリジナルの布ケースが付いていますがロゴ・マークが取れています。当店お問い合わせ番号SA965¥45,100(税別¥41,000)

オリジナルの状態を保ったアンテイーク・ロッドですが、今後の長い使用が可能ですので、バット部の2か所のガイドの巻き直しと再塗装を行いました。テイップのオス・フェルールの巻き直しと1個のブリッジ・リング・ガイドを類似の物と交換しました。3か所のインター・ミデイエットの巻き直しを行いました。出来る限りオリジナルの状態を保つよう作業を行っていますので、違和感は感じられないと思います。併せてインター・ミデイエットを除いたすべてのガイドの防止上塗りと曲がり直しを行いました。

この時代のロッドは凝った作りが特徴の一つですが、コルク・グリップも手触りが心地よい柾目コルクが使用されています。目立つような欠落は見られない良好な状態です。画像に見えるテイップ下端のブリッジ・リング・ガイドが少し歪んでいたので今後の長いご使用を考慮して類似のガイドと交換してあります。

重厚なブラス製エンド・キャップが取り付けられたリングシートです。ブラス・キャップにはハーデイの名前に加えて”The Perfection”と刻まれています。古い時代のロッドの特徴である、長いグリップと併せてシート下端部に約47mm・一握り程のスペースが残されているのでダブル・ハンドとしての仕様も可能です。

ロゴも綺麗に残っていて傷などは見られません。パラコナの手書きのロゴが残っている事から大切に使用された事が分かります。

ストリッピング・ガイドはハーデイのアンバー・メノウ・ガイドが付いています。他の部分はハーデイ特許のブリッジ・リング・ガイドです。当店の推測ですが、この110年以上の歴史を経たロッドの状態や外観から推測するに、当時のフライ・マンの多くが行ったようにシーズン・オフには適宜ハーデイでのレストアーが行われたのではないかと思っています。バットの2か所のブリッジ・リング・ガイドは当店で巻き直しと再塗装を行いましたがバットのメノウ・ストリッピングはスレッドは強度があるので塗装だけを行いました。

また、英国に於いてロッド全体の防水上塗りを行ったのでは無いかと思っています(ハーデイでの作業の可能性が高いと思われますが確かではありません)。上塗りした塗装の下から数か所微小な下塗りの古い塗装が見えています。下塗りが残っているので使用上支障がありませんが出来る限りそれらの微小な個所を塗りました、一見して気にならないと思われます。

トップ・ガイドはストリッピング・ガイドと同じアンバーのメノウ・ガイドが付いています。トップ最上段のブリッジ・リング・ガイドとメノウ・トップ・ガイドの間の塗装が少し剥げている部分が見えたので全体を上塗りしてあります。ロッドのショートやガイドの破損等が見られない事から、オーナーの使い方がかなり丁寧であったことが事が分かります。

1937年の”ハーデイ・アングラーズ・ガイド・コロネーション(戴冠式)号”に掲載されたパーフェクションです。このロッドの製作年代の1907年の資料が無い為約30年後のアングラーズ・ガイドを掲載しました。当店の知る限り”パーフェクション”1885年から試作されていると思います。


10/13/2021
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