１９世紀末、フォスターのパテントとしてかなりの成功を収めたステール・ワイヤーでロッドの表面をダイヤモンド型に巻きしめ、ロッドの強度とパワーを高める目的から考案されたダイヤモンド・ブレイド（ワイヤー・クラッデイング）仕様のモデルです。後にはステイール・ワイヤーのみならずコパー・ワイヤーや各種スレッド類で巻く事も流行したようですが（多分製造されたのは２０世紀前半頃までと思われますが）、それ程長くその流行が続いたとは思われません。アンテイーク好きの方にはフライ・ロッドの歴史を感じさせる興味深い仕様として人気の高い貴重なモデルの一つです。

このロッドは使用頻度も少なくかなり良好な状態のダイヤモンド・ブレイド仕様のロッドです。バンブーとグリーン・ハートの２本のテイップが綺麗な状態で残っています。

１０フィート２ピース、エクストラ・テイップ付き。テイップはグリーン・ハートとバンブーの２タイプが付属した極めて珍しい貴重なアンテイーク・ロッドです。グリーン・ハートのテイップを付けると１０フィート、バンブー・テイップでは９’６”になります。バンブーのテイップが約６インチ短く作られています。

強度とパワーを最大限に生み出す目的のダイヤモンド・ブレイド仕様のこのロッドは、トルクの高いキャステイング・パワーと強烈な大型魚の引きにも耐える強靭性を感じさせてくれます。コンテイネンタル・アクションのロング・アンテイーク・バンブー・ロッドを使い慣れた方でも若干モッタリした印象を持たれるかもしれませんが、使うほどにその特徴に慣れてくると,その底深いパワーとアクションを好ましく感じると思われるでしょう。

ロッド重量は１０フィートのグリンハート・テイップ・モデルでは約３２０グラム、ラインは＃４〜５が振れて＃６にも対応できるアクションです。９’６”のバンブー・テイップ付きモデルは約３１０グラム、適合ラインは＃５〜６が適していると思われます（共にアンテイーク・ロッドの高い汎用性の機能に慣れた方には＃４と＃７にも対応できるでしょう）。グリップ上端部の対面外径は約１０．５ｍｍ、グリーン・ハートの先端部の外径は約３ｍｍ、バンブー・テイップの対面外径は約２．８ｍｍです。

長さが約２７ｃｍのコルク・グリップが付いているので、シングル・ハンドのみならずセミ・ダブル・ロッドとしてもご使用になれます。中流域、本流、中小湖水等でのあらゆる釣りにマッチした万能モデルです。尚、当店オリジナルのハーデイ・エクステンションを取り付ける事が出来ますので本格的なセミ・ダブル・ロッドとしても存分に堪能できます。

ラインは＃５をメインに＃６も振れると言うのが最も適している言う印象です、アンテイーク・ロッドの万能性に馴染んだ方には＃４や＃７でも存分にそのアクションを堪能できるでしょう。９’６”のグリーン・ハート仕様のテイップとのセットが若干ソフトな感じと言えます。

ロッドの状態は製作年数からは考えられない程使用頻度も少なくかなり良好です、ラッピングの断裂やブランク塗装面の剥離も見られません。仕様もフォスターの高級モデルらしく大変アンテイークらしい凝ったパーツ類が取り付けられています。トップとストリッピングはクリヤーのメノウです。フェルールはハーデイに似た特殊なピンでキャステイング時にロッドが分離しないような仕様になっています。

フォスター・オリジナル布ケースが付いています。 当店お問い合わせ番号SA９６１。古い時代の凝った作りのアンテイーク・ロッドで状態はかなり良好です。グレードは \４１，８００（税別\３８，０００）

大変良好なアンテイークなので今後の長い使用を考慮してインター・ミデイエット・ラップを除いたラッピング部の防水上塗りを行いました。バット中心部の軽微な曲がり直しも行いました。

使用頻度が少ない綺麗な状態の柾目コルクが使用されています。コルク部分の長さ約２７ｃｍ、最大外径約約２５ｍｍ。

シート金具には殆ど使用感を感じさせません。古い時代の英国製らしいタフな作りのブラス製のユニークな形のシートが付けられています。シート下端部に一握り程のスペースが有るのでセミ・ダブルでの使用も可能です。下端部の金具・リテイナー上端部から、上部のブラス・リングの下端部のスペースは最大約１２ｃｍありますので、長いブラス・フットのリールも取り付ける事が可能と思われます（フットの厚みの問題はありますが）。尚、フットを差し込むリテイナーとリングのスペースを合わせると最大約１４ｃｍ程のスペースがあります。

ワイヤーで規則正しく綺麗なダイヤモンド型にロッドが巻かれています。スレッドの断裂や塗装面の剥離などは見られません。

フェルールはオスに取り付けられたピンをメスに付けられた金具の凹みに通して捻じる事でキャステイング時のロッドの抜けを防ぐ仕様になっています。かなり凝った作りのフェルールです。綺麗な布ケースと併せて、一人のオーナーが丁寧に使用した事が推測されます。

美しいダイヤモンド・ブレイド模様が見られます。ストリッピングとバンブー・テイップのトップ・ガイドはメノウが使用されています。ロッドの外観は大変綺麗な状態です。

＊メノウのストリッピング・ガイドの上部７cm程（画像の膨れてラッピングが見られる位置）に古い時代の凝った造りらしく、アクションの調整の為と思われるフェルールが取り付けられていると推測されるので、ロッドには何も作業も加えず外面から特殊なエポキシ接着剤を注入して補強を行いました（外見からはその痕跡は判別できませんが）。

各フェルールの差し込み具合は正常で緩みやがたつき等は見られません。バンブー・テイップのトップ・ガイドはデラックスなクリヤー・メノウ・タイプです。

細いテイップ部のダイヤモンド・ブレイドも緩みなく美しい巻で仕上げられています。当時の英国のバンブー職人の腕の確かさが見て取れます。

アンテイーク・ロッド一覧