オークションでの説明ではハーデイ・マスターピースとなっています。当店の資料ではマスターピースは1934−1952年の間に製造された所謂ジェネラル・フィシング・ロッドと呼ばれる餌釣りなどで使用する万能ロッドで長さが10フィートとなっています。更に、サーモンやパイクなどの大型魚にデザインされたロッドです。
このロッドは英国に於いてフル・レストアーが行われておりロッドのロゴ部分が殆ど消えている為特定ができません、オークション業者は出品者からの情報に基づいてマスターピースと表示したと思われますが、一応確定できない事をご考慮ください。ハーデイの初期のモデルにはしばしば特注ロッドがあるので、このモデルもマスターピースの特注モデルとも考えられます。製造年代に付いてはブラス・エンド・キャップに彫られたシリアル番号から1926年と推定出来ました。
下記のハーデイ・アングラーズ・ガイド1934年版に掲載されているマスターピースは長さが10’でバットがグリーンハートと書かれて居る事からも(他の資料にも同じ説明があります)、このロッドがマスターピースの場合は特注のモデルの可能性が高いと推測しています。
チューリップ・スタイルのメノウ・トップ・ガイドなどからフライ専用ロッドではなくマードックなどと同類の多目的モデルである事は間違いがないと思われます。当店では類似のマードック、ヘブリジアン等(数年前は買い付けが可能でしたが近年は大変珍しいモデルとなっていますが)は何本か販売しておりますが、ワイより若干硬めのショート・ダブル・ハンドとしてご使用になされる方がお買い求めいただいております。#9〜10程度のラインに適したヘビーなショート・ダブル・ハンド・ロッドとして、バンブー・ロッドに慣れた方にお勧めのモデルです。 この時代のモデルにはかなりの比率でカルカッタ・ケーンが使用されているのでその可能性もあり、ヘビー・ロッドにしてはかなり手に優しい感じが伝わってきます。
フェルールはハーデイのロック・ファースト・スパイラル・ジョイント、経年による若干の摩耗が見られますが気になる程のガタツキは見られません。英国に於いて全塗装を含めたフル・レストアーが行われいるため、100年前のロッドとしては十分ご使用に耐えられる状態を保っています。
トップのチューリップ型メノウ・ガイド、ブリッジ・リング・ガイドはハーデイ・オリジナルのものですがテイップ・セクションに1個だけブリッジ・リング・タイプのガイドとは異なるモデルが付いています。又、大型のストリッピング・ガイドはもしかするとオリジナルでないかもしれませんが特定が出来ません。
ほぼフル・レストアーに近い修理を行ないながら英国で使用されていたので100年近く前のロッドとしては状態が良好と言えます。3ピースで2テイップが揃っているので安心してご使用になれます。ハーデイのオリジナル布ケースが付いています、バットのフェルール・キャップが残っているのも100年前のロッドとして大変珍しい事です。当店お問い合わせ番号 SA917。グレードは¥39,600(税別¥36,000)