1800年代ノーネーム・グリーン・ハート10‘#4〜6メール

年代・メーカー等を特定できる文字などがロッドには見られませんが、作りなどから1800年代終わり頃のモデルではないかと推測しています。但し、古い時代のグリーンハート・ロッドとしては珍しいなかなり短いサイズなので1900年代初めの可能性も考えられます。

グリーン・ハートである事と古い製造年代を考量すると、シングル・テイップながらショートしているようには見ない事からも状態は良好と言えるでしょう。アクションは極めてデリケートで(本来非常に硬いグリーン・ハートは限界まで曲がるとかなりの反発力が生まれます)#4〜5をメインに#3〜#6程度に適していると思われます。 外観の検証から英国に於いてラッピングのレストアー等が行われた可能性は少ないと考えられます、古い時代のオリジナル状態を良く保ったロッドと推測されます。これらの事を勘案すると一人のオーナーが使用していた可能性が高いと思われます。

シングルでも使用できる長さ・アクション等から、英国のオークションに於いてはかなりの競り合いをして買い付けた人気の高いグリーン・ハートのショート・モデルです。 ロッド重量約350グラム、グリップの全長約36cm。グリップ上端部のブランクの外径約12.76mm、テイップのトップ・ガイド下の外径は約2.34mmです。

今後の使用時の耐久性の検証と外見から見えない瑕疵を見つけるために#5ラインを付けて100回のキャステイングを行いましたがロッドのフェルールのガタツキ、ロッドの曲がり、軋み等は見られませんでした。100回のキャステイングの内半分の50回はシングルで振りましたが、個人的に9‘のゴールドメダルを愛用しているせいか全く苦になりませんでした。個人的には軽いという印象を持ちました。リール・シート下のスペースを左手で持ってショート・ダブル・ハンドでのキャストではより大きなパワーが生まれるようです。渓流から中流域まで、中小湖水を含めて多目的に楽しめるロッドと言えます。

3ピース、シングル・テイップ、布ケースはオリジナルではないと思われます。当店お問い合わせ番号SA916。グレードは説明: http://www.sasanofly.com/antiqueimg/logo_antique/stars/45stars.gif説明: http://www.sasanofly.com/img/zeikomi.gif18,150(税別¥16,500)

古い年代のグリーンハートとしては良好な状態でしたので特別のレストアーの必要性は認められませんでした。今後の使用を考慮してほつれていたバット・メス・フェルールのブラックのスレッドの巻き直しを行いました。又、グリップ上端部の飾り巻きが外れていたので巻きました。

全てのガイドとフェルールのラッピングの防水上塗りを行いました。更にブランク全体の防水上塗りと軽微な曲がり直しも行っています。実際の使用にはそれ程の支障は出ませんが、バンブーもそうですがグリーンハートはかなり曲がりの出やすい素材です。

古い時代の重厚なブラス製シートが付いています。当店の検証ではほとんどのハーデイ・リールが問題なくセット出来ました。

ラバー・エンドとシートとの間に約4cm程のスペースが出来るのでセミ・ダブルとしても快適なキャステイングを楽しむ事が出来ます。フェルールはスパイク付きのブラス製。

ロゴ等がどこにも見られません。ブラス・ワインデイング・チェックの上の飾り巻が外れていたので巻き直してあります。

ブランクやラッピング部の塗装面にに大きな傷や塗装の剥離などは見られません。ラッピング部分のスレッドはほぼオリジナルの状態で残っています。テイップ部分のみ強度と飾りの為にインター・ミデイエット・ラップが施されています。ガイドは古い時代のグリーンハートの特徴でありますがこのロッドも全てスネーク・ガイドが取り付けられています。

フェルールの差し込み部分もスムースで確りと肯定されガタツキは見られません。メノウのトップ・ガイドは後から交換されたものではないかと推測しています。バットのメス・フェルールのブラックの補強巻きがほつれていたので巻き直しを行っています。シングル・ハンドでも使用出来る貴重な短いグリーンハート・ロッドをお探しの方にお勧めのモデルではないかと思います。

 
フェルールに付いて

古い時代のグリーン・ハートしてはかなり良好な状態のロッドに付いた珍しいフェルールをご紹介申し上げます。メス・フェルール内部のグリーン・ハート素材に開けられた穴に、オスの長いピンが収納されて強度とアクションを保つかなり手の込んだ作りです。

古い時代のハーデイのバンブー・ロッドでもピン付きモデルが散見されますがその長さは4〜5mm程度のものが殆どです。

このようなアンテイークについての諸々のお話のご要望が寄せられる事からご紹介申し上げましたのでご興味のある方はご高覧ください。

バット・セクションとミドル・セクションのフェルール
 

バット部分のメス・フェルールの全長は81mm。ミドルのオス・フェルールはピン部分が30mm、フェルール部分が33mmで計66mmなります。フェルール接合部の両端はブラックのスレッドで補強され、更に端はブラウンのカパー・ワイヤーで巻かれています。

古い時代のグリーン・ハートでしばしば目にするカパー製ガイド状の金具はフェルールの抜けるのを防ぐために、使用時にカパー・ワイヤー等で互いを止めるのではないかと推測しています。

古い時代のグリーン・ハートは一般的に特に手の込んだ造りになっています。

ピン部分はメス・フェルール内部のグリーン・ハートの穴に入ります。オス・フェルールの全長約61mmの内約55mm程がメスの内部に入ります。古いグリーン・ハートのフェルールにはワックスが塗られている場合が多く外気温によって若干差し込み具合に差が出ますが、一般的にはこの9割程度差し込まれていいる場合(上画像が差し込み時の位置関係です)は様子を見ながら丁寧にご使用になる事がベストだと思われます。
ミドル・セクションとテイップ・セクションのフェルール
テイップのオス・フェルールはピン部分が24mm、フェルール部が29mm、全長約53mm。約48mm程がメスに入ります。又、オス・フェルールは抜けを防ぐためにグリーン・ハートのピンで補強されています。
 


02/12/2020
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