1928年ハーデイ・ホートン・ドライ・フライ・ロッド9’6”#4〜5メール

極めて狭い幅で巻かれたインター・ミデイエット部分が際立つ豪華な仕様の外観・アクション・由来がすべて素晴らしく、大変美しいハーデイのアンテイーク・フライ・ロッドです。ロンドンから西に向かうとテスト川がありますが、そこに所在する名門クラブ、ホートン・クラブから命名されたロッドです。あのキャステイングの名手J.J.ハーデイがテスト川を訪れて開発したフライ・ロッドと言われています。由来と言いアクションと言いハーデイの名竿の一つと言えます。ホートンには若干硬めのクラウン・ホートンがありますが、このモデルは若干デリケートなアクションのホートン・ドライ・フライ・ロッドです(サーモンも遡上するテスト川なのでもちろん大きなレインボー・トラウトなどにも対応しています)。

ロッド重量は約195グラム、ロッドを振ると9‘6“のロング・ロッドであることが信じられないほど軽い事に驚かされます。#3ラインでも振れるデリケートなアクション、経年によるロッドの張りは失われていません。当時のバンブー素材(かなりの確率でカルカッタ・ケーンと推測されますが)の素晴らしさと、優れた職人の腕から生まれた美しいロッドです。

日本のフライ・フィッシャマンが好まれる張りのあるシャープでデリケートなドライ・フライ・ロッド独特のアクションです。個人的にはデラックスの9’を愛用していますが(その印象を参考してあります)、この9’6”はかなり軽くロング・ロッドに慣れた方にはシングル・ハンドでの使用には全く違和感を感じないでしょう。

約100年以上昔に作られたロッドとは思えない程状態が良好でほぼオリジナルの状態を保っています(英国で防水上塗りとメノウ・トップ・ガイドの交換が行われています)。トップとストリッピング・ガイドはメノウですがトップのメノウ・ガイドは実用の為に前のオーナーが大き目のガイドに取り換えたようです。又実際の釣りには支障がありませんが下端部のスピアーがネジを含めて紛失しています。

渓流でのドライをメインにウエットも楽しめる軽快なシングル・ロッドです。この長さがあるので本流や中流域での釣りも存分に楽しめる万能ロッドです。100年前のロッドとしてはロッドにショートが見られないモデルで、2テイップが揃っているので安心して長い期間ご愛用いただけます。

ロッド重量約195グラム、コルク・グリップの全長約20cm・グリップの最大外径約24.5mm。バット・セクションのグリップ上端部対面外径約9.6mm、テイップのトップ・ガイド下の対面外径約2.2mmです。3ピース、2テイップ、ハーデイ・布ケース付。アンテイーク・ロッド愛好者の方に大変人気の高いハーデイの手書きロゴ入りのバンブー・テイップ・ケースが付いています。

美しい外観のハーデイの名竿のドライ・フライ・ロッドとしてかなりお買い得な価格になっているのはスピアーの紛失と下記レストアーに説明した部分を考慮したものです。アンテイーク・ロッドを使い慣れた方に、現代のアクションにも通じる軽快なデラックス・モデルとしてお勧めするロッドです。当店お問い合わせ番号SA913。グレードは説明: http://www.sasanofly.com/antiqueimg/logo_antique/stars/45stars.gif説明: http://www.sasanofly.com/img/zeikomi.gif46,440(税別¥43,000)

一見したロッドの状態はかなり良好でしたが、検証の結果バット・メス・フェルール部とブランクの間にがたつきを感じました。更に詳細に検証しスレッドを取り外したところ6角の3か所程の接着に緩みが見つかりました。フェルールを脱着し張り合わせ部分を広げて隙間なく接着剤を入れて固定しました。この作業でバット部の一部にも接着剤が浸透しているので使用上の支障はありません。

この作業で取り外したインター・ミデイエット部分9か所の巻き直しとフェルールの脱着を行っています。他にも4か所程のインター・ミデイエットがほつれていたので巻き直しを行いました。全てのインター・ミデイエット部分を除いたラッピング部の防水上塗りを行い更に全体の防水上塗りを行いました。微小な曲がり直しも行いました。一部のガイドの微小な錆落としても行っています。

バットの接着面を補修した為にラインを付けてキャステイングを100回行っています。#4で50回・#6で50回、張りのある細身のロッドでの極めて心地よいキャステイングでした。テスト後の検証でロッドの曲がりや軋みなどはみられません。

コルク・グリップの状態はかなり良好と言えます。目立つような欠落や凹みは見当たりません。フライ・フィッシングが未だ特殊な人たちの特別なスポーツであった時代の作りなので極めて凝った仕上がりになっています。それはアンテイーク・ロッド好きの方に人気のハーデイ手書きロゴ付きバンブー・テイップ・ケースの完成度の高さにも見て取れます。

シート金具下端部のスピアーが紛失しています。

フェルーは確り止まり気になるようなガタツキなどは見られません。フェルールもロック・ファーストのピン付きタイプがセットされています。

ハーデイの手書きロゴ・マークが全て綺麗に残っています。スレッドは幾つかを除いてほぼオリジナルの状態を他も持っています。

撮影時のライトの具合で古い時代の塗装の特徴である経年による若干の縮み皺が見られますが、実際はこれ程目立ちません。英国に於いて全体の防水上塗りが行われています。デラックス・モデルのロッドの特徴でもある細かい間隔のインターミデイエット・ラップの巻きの完成度が大変高く、美くしささえ感じるロッドです。

古い年代のロッドの特徴である六角の張り合わせ部分が丸くなった意匠が良く表れています。それは一見すると丸いロッドかと錯覚するほど全体が丸く作られています。

レストアーの説明にあるようにバット・メスフェルール下端部から9個のインター・ミデイエット・ラップはレストアー作業の為取り外して類似のスレッドで巻き直しました。

加えてバットのグリップ側の3か所(矢印部分)は少しほつれた居たので巻き直しを行いました。ミドルも1か所巻き直しが行われています。その他はオリジナルの状態を保っています。

レストアーの説明にあるようにフェルールを脱着してあります。その作業中、フェルール内部のバンブーが経年と古い接着剤の為に、六角の接着面の内三面が一部外れていました。フェルールの外のバット部にもその形跡が見られるので、インター・ミデイエットを九か所取り外し(A:フェルール下端部から約9cm)、現時点で問題の発生していない部分にも入るようにフェルール内部の剥離面を広げてエポキシ接着剤を注入し固定しました。

Bのフェルール下端部から五か所のインター・ミデイエット部分までの約42mmには接着剤が多く浸透し(フェルール内部程ではありませんが)、そこから九番目のインター・ミデイエット(A:フェルール下端部から約9cm程)は一部が僅かに染みた痕跡が見られました。

当店のテストでは支障が見られませんが、アンテイークにはこのような問題が見られる事、レストアーを行って快適にご使用いただけるように改善する事にご理解を頂ける方にお勧めのロッドです。修理箇所が目立つように写してあります、色合いは全体とのバランスがとれているので実際にご覧いただくと画像程は目立たないと思われます(感じ方には個人差がありますが)。

機能性の高いロック・ファースト・フェルールのピン付きタイプが使用されています。経年による摩耗は殆ど見られません、又気になる程のがたつき音等も感じられません。トップ・ガイドのハーデイ・メノウ・ガイドは機能性を考慮して少し口径の大き目のハーデイ以外のメノウガイドに英国に於いて交換されています。バットのメス・フェルールはレストアーの説明にあるように脱着して巻き直してあります。

1929年ハーデイ・アングラーズ・ガイド

このロッドより一年後のアングラーズ・ガイドに同じロッドが掲載されています。若干シート部分の形状が異なっているようです。

シリーズ中最も短いロッドであることが分かります。

 


12/22/2019
Copyright (C) 1996 Importer and Exporter Sasano CO.,LTD.
All Right Reserved. 2015.04.03