エドガー・シーレイは1895年創業、当時は世界の釣具の一大工場地帯であった英国・レデッチのメーカーです。当店でもシーレイ・ロッドを時折オークションで買い付けるのですがメーカーの詳細な歴史が不明です。1960年代から70年代のかけてはかなりポピュラーなメーカーだったのではないかと推測しています。製造年代はコルク・グリップやシートなどの仕様から判断したものです。1965年のカタログには既にホロー・グラスのこのロッドと同じかどうかは確定できませんが8’6”と9’が掲載されています。
近年グラス・ロッドのアクションが人気を博するようになり、ショート・ロッドのみならずヘビーなモデルやダブル・ハンドまでの幅広いカテゴリーに対するご要望を頂いています。その中でもアンテイーク好きのお客様の評価が高いのが、ハーデイに代表されるバンブー・ロッド・メーカーが製造した初期のグラス・ロッドです。多くは英国にあったバンブー・メーカーは、新しいグラス素材を使用してバンブー・ロッドのアクションを再現すべくデザインに工夫を凝らしてしています。グラス独特のアクションと言う考えも希薄な時代ですからこれは当然の事だったのです。これが現在のフライ・フィッシャマンが感じるバンブー・ロッドの持つ複雑な楽しさに通じる事になります。
更に、仕様にもバンブー・ロッド製作用パーツ類が使われれ、バンブー・ロッド製作の職人たちの手で作られていることがアンテイーク・ロッド好きな方の興味を引くことになります。カタログから見るとバンブー・ロッドとグラス・ロッドはほぼ同じ価格に設定されていることも、当時はバンブーと同じグレードで作られていたことを表しています。
このロッドはブラス・フェルールが使用されている事、ストリッピング・ガイドとトップ・ガイドがメノウ(又は人造メノウ)が使用されている事からバンブーの職人がバンブーのアクションの再現を目指して作ったグラス・ロッド推定して間違いないと思われます。更にこのロッドはシーレーのバンブー・ロッドの特徴の一つであるスタッガード・フェルール仕様になった大変珍しい貴重なグラス・ロッドです。ペゾンのバンブー・ロッドで知られたスタッガード・フェルールのシャープさがバンブー・アクションのグラスと組み合わされた優れたデザインです。
ロッド重量約150グラム。ブランクのグリップ上端部リング・キーパー近辺の外径約13.44mm、トップ・ガイド下の外径約2.38mm。グリップの全長は約17.5cm、コルクの注寝具の最大外径は約23mmです。
グラス素材の軽さを活かして滑らかで柔らかなアクションのロッドを生み出しています。これは多くの日本のフライ・フィッシャマンの方が好まれるアクションでもあります。テップがバットより18cm長いというスタッガード・フェルール仕様がこれにシャープさの味付けをしてくれています。このロッドはバンブー・アクション再現の意図をほぼ満たしているようです。
状態が大変良好な事もこのアンテイーク・グラス・ロッドの特徴です。ブランク塗装面の傷や塗装の剥離、ラッピングの塗装面やスレッドにも傷や断裂は見られません。大変綺麗な状態と言えます。
アンテイーク・グラス・ロッド愛好者の方にお勧めのモデルです。ラインは#5をメインに#6まで対応できます。渓流・中流域・小型止水域でのドライからウエットまでを楽しめる万能モデルです。2ピース、1テイップ、メーカー・オリジナル布ケース付。当店お問い合わせ番号SA860。グレードは \24,840(税別\23,000)
ロッドの状態が大変良好なのでオリジナルのままです。グリップの小さな2x11mm程度が下地が見えていたので専用パテで埋めてありますが、分からないと思われます。