1837〜1967年までハンテイングと釣具の販売を行っていた“フォレスト・ジョン”の注文で製造したと推測されるグリーンハート・サーモン・ロッドです。ハーデイのグリーンハートはそもそも生産量が少なく、このようなほぼ完全な状態のロッドが残っている事が極めてまれな事からかなりの貴重品です。
このロッドはただそれだけではなく非常に凝った仕様のみならず、アクションがシャープで軽いという優れたデザインにも驚かされます。 一般的に柔らかいという印象が強いグリーン・ハートですがこのロッドは少し異質で現在のモダンなアクションに似ています。グリーンハード・ロッドに対する概念を変える必要があると思わせる優れたデザインでもあります。
更に大変貴重なハーデイのスプライスド・ジョイントです、その接続部分のデザインにも驚かされました。 製造年代については特定ができません。本来ハーデイはグリーンハートの生産が少なく1890年代にはほぼバンブーのモデルに切り替わっています。後年時折特注のモデルを作る事はあっても一般的には1880年代のモデルと考えられます。ただ、シート類などが果たしてその年代のものかと言う疑問があります。フォレスト・ジョンの注文で1920〜30年代に製造された可能性も考えられます。当店では製造年代が特定できませんが、恐らく後者の推測が当たっているように思われます。
フェルールの接続は本体に取り付けられたブラス・リング同士を互いに差し込んで固定するという当店でも初めて目にする仕様です。 トップのメノウガイドに大小がありますが、テイップの外径は殆どの部位で同じですが、大きなメノウ・ガイド付きのテイップの一部が太くなっていることから若干ヘビーなモデル用ではないかと推定されます。
ロッドの状態が極めて良好な事も、よく残っていたと感心してしまいます。ロッドはショートがなく全て正確な長さと思われます。スレッドの断裂、ガイドの錆や破損も見られません。このような綺麗な状態を観ると、ハーデイが後年特注で少量のグリーンハート・モデルを製造したことが想起され、もしかするとそのようなモデルかもしれないとも思ってしまいます。
加えて長さが12フィートと言うのも古い時代のグリーンハートとしてはかなり珍しい事も当店が1890年という推測に躊躇する根拠の一つです(仕様などから1890年代の推測は間違いないと思われますが)。現在の最もポピュラーな長さとグリーンハートとは思えないシャープなアクションを存分にお楽しみいただけるでしょう。 ロッドのショートもない上にスプライスド用のキャップが全て揃っています。ほぼ完品の状態です。布ケースはハーデイ製ですがロゴはフォレストジョンのロゴが入っています。シートにはハーデイのロゴが複数見られます。
ロッド重量約540グラム、ロッドを手にすると実際の目方以上に軽く感じると思います。グリップの全長は約50cm、グリップ上端のブランクの外径は約13.9mm、トップ・ガイド下の外径は3.1mmです。状態はかなり良好です、3ピース、2テイップ、フォレスト・ジョンのロゴ入りのハーデイ製布ケース付でフェルール・プロテクターが5個付いています。これはオーナーが一人だけで、かなり丁寧に使用する人であった事を推測させます。当店お問い合わせ番号 SA821。
¥59,400(税別¥55,000)
状態はかなり良好なのでレストアーは不要でしたが、素晴らしいアクションをお楽しみいただくためにラッピング部分の防水上塗りとブランクの薄い防水上塗りを行いました。できる限りオりジナリテイーを損なわないよう薄く塗装しました。前のオーナーがテープでフェルールを補強した跡が残っていたのでその上からも塗装を行ってあります。