現在ではフィリプソンの名前は無くなってしまいましたが、PWフィリプソンが創業したのは1925年頃とアメリカでも歴史のあるメーカーの一つです。1938頃にグレンジャーに吸収された後、W.フィリプソンにより1945年頃には再興されて現在でも根強い人気のデリケートなロッドを1960年代頃(身売りをしたので製品はこの後も提供されていましたが年代は不確かです)まで製造していました。
フィリプソンは技術力に大変優れており、特にグラス・ロッドの時代には現在でも極めて愛好者の多いロッド・シリーズを数多くデザインしていました。レナード、オービス、後年買収される3M等にOEMで提供するほどの技術力がありました。これらはフィリプソンを買った会社が提供していた可能性もありますが、もしそうであったとしても、フィリプソンのロッドそのものでロッドの名前もフィリプソンが使用されていました。当店でも1970年代終わり頃から、ロドン社(後年REC社となる会社の元ですが)フィリプソンのブランクをかなり多量に輸入していました。1981年の当店タックル・インフォメーション37号にはこのロッドのブランクが掲載されています。なおキャンパースペシャル・グラス・ロッドの年代は推定です、1970年代の初めの可能性もあります。
このフィリプソン製グラス・ロッドをオービスによって組み立てられたモデルはフライとスピニングの兼用ロッドです。渓流を源流まで遡るフライ・フィッシャマンに最適のモデルです。勿論兼用だからと言って中途半端なデザインではありません、フライ・ロッドとしても十分なキャステイング能力があります。スピニングとしても大変デリケートですがしっかりとキャストが楽しめます。共に高いグレードで適切にデザインされています。
フィリプソンのグラス・ロッドは当時最もフライ・フィシャマンの要望を満足させる高級なグラス・ロッドとしてレナードやオービスにフィリプソンのオリジナル状態のブランクが供給されていました。このモデルは当時としては画期的なエポキシ樹脂製のフィリプソンのブランクを使い、オービスが完成させた貴重なショート・ロッドのフィリプソンです。使用頻度もそれ程多くないようです、状態はかなり良好でこれからも長くご使用できるでしょう。
ラインはシルク・ラインがかなりポピュラーであった古い時代の表示のHCF(WF#7に該当)ですがパワフルな現在のラインではDT#5またはWF6が最適でしょう(DT4でも支障なくキャステイングが楽しめます)。このロッドにはルアー・ウエイトは表記されていませんが、1975年のカタログによれば1/8−3/8オンス(3.5−10グラム、3g〜8g程度が適当と推測します)と書かれています。ロッドのライン表示がAFTM以前の古い表示である事からも1960年代終わりから1970年代初頭の製造年代と推定されます。
4ピース、1テイップ。オービスのオリジナル・アルミ・ケースと布ケース付。ロッドの仕舞い込み寸法は約56cm、アルミ・ケースの長さは約58cmです。当店お問い合わせ番号SA753。状態はとても良好ですグレードは \52,920(税別\49,00)